「ドライアイス」と「ホタル」と「クラゲ」

「ドライアイス」と「ホタル」と「クラゲ」。
何のつながりもなさそうなこれらを繋ぐキーワードは「親の心、子知らず」またはその逆「子の心、親知らず」、です。

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まずは「ドライアイス」のこと。

娘がまだ1、2歳だった頃、お中元に頂いたアイスクリームの箱に同封されていたドライアイスを容器に移し、気化する様子を見せてあげました。水を注いで、煙をモコモコと発生させると、娘は「キャッキャッ！」と大喜びし、その煙を捕まえようと、必死に手を伸ばしていました。その姿を、パパさんもママさんも、かわいいなぁと思いながら見ていました・・・。

1週間ほど前、パパさんがドライアイスを持ち帰りました。
パパさんは荷物を置くとすぐに台所からボールを持ちだし、ドライアイスと少量の水を入れ、娘の目の前に置きました。
娘は「わぁ～すご～い！ね、これ、なに？」とパパさんに尋ねました。

「ドライアイスだよ」とパパさんが答えると、
「ねぇ、なんでけむりがでるの～？もえてるの？」と、娘はパパさんに尋ねました。
「燃えているんじゃなくて、溶けているんだよ」パパさんはちゃんと答えたんですが・・・娘は聞いていたのか、いないのか。。
「わぁ～、すごいね～」と娘は数回繰り返してはいましたが、すぐに飽きてしまったようで、そのときちょうど見ていたプリキュア（録画）に視線を戻しました。

パパさんは、煙の勢いが弱くなると水を足したり、入れ替えたり、と、せっせとドライアイスのお世話をしていたのですが、肝心の娘はさほど興味のない様子でした。

「あ～あ、喜ぶと思ったから、持って帰ってきたのに・・・」パパさんは溜息交じりに言いました。
ドライアイスの煙に夢中になっていた赤ちゃん時代の娘が懐かしく感じられました。

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続いて「ホタル」のこと。

夜空に光る「ホタル」。ママさんの実家は田んぼに囲まれた田舎なので、子供の頃は、庭でホタルを捕まえて遊びました。
でも、娘は今までホタルを見たことがありません。ですから「ホタル」の話をしても、娘には全く通じません。

そこで娘に「本物のホタルを見せてあげよう」と思い、自宅から車で20分ほどのところにホタルがいる「らしい」という情報を元に、ホタル探しをしました（「園瀬川」という川の流域にいるのは確からしいのですが、その川のどのあたりにいるのかがイマイチ分からなかったのです）。

「どこら辺だろうか」「この辺りじゃない？」「でも、光っている気配がないし」「そうだね」
パパさんとママさんは必死にホタル捜索をしました。

「あ、光った・・・気がする！」「いる！光っているよ！」必死に探した甲斐あって、ホタルを発見しました。
小雨降る中だったせいか、木陰で光っているホタルが多く、たまに光を放ちながら飛ぶホタルがいる程度でしたが、それでも正真正銘、本物のホタルです。

「ほら、あれがホタルだよ。光っているでしょ？きれいでしょ？」空を飛ぶホタルを指さしながら、パパさんとママさんは必死に娘に言いましたが、
娘は「あ・・・うん。そうだね。きれいだね。」とポソっと言っただけ、でした。そして、「ね、もうおうちにかえろ」と、今度はしっかりとした口調で言いました。
ホタル捜索は、パパさんとママさんがノスタルジーに浸っただけ、で終了しました。

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最後に「クラゲ」のこと。

海に近いせいか、家の近くの川は、時々潮の香りが漂う汽水です。なので、時々川の中にクラゲが漂っています。
娘はなぜかこの漂っているクラゲを見るのが好きで、川の近くを通ると、「クラゲいないかな～」と川を覗きこんでいます。

数日前。ママさんが仕事帰りに近くの川を何気なく見たところ、びっくりするくらいの数のクラゲが漂っていました。
きっと娘が見たら、大喜びするに違いない、と思い、娘を保育園に迎えに行った帰りに、その川まで出かけてクラゲを見せました。

「ほら～、すごいでしょ。クラゲ、い～っぱい、だよっ！」ママさんは声を弾ませながら娘に言いました。が、娘はさほど興奮も感動もなかったようで、「うん、たくさんだね。すごいね」と冷静に言った後、冷たく「おうち、かえろう」と言いました。

・・・ホタルに続き、大きく空振りしてしまいました。